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花鳥風月通信

自慢のおいしいスパゲティ
高円寺「花鳥風月」の公式ブログ
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さみしくないお店
こんにちは。ミキです。
最近は自転車に乗っていると
くちなしのいい香りがします。
びわの木にびわもどっさりなっています。
うちのマンションの庭には
紫陽花がたくさん咲いています。
季節ごとの見所がたくさんあるものですね。


この間、お店が貸切り営業のため
お昼をその準備で休業することになり、
以前から行ってみたかったけど、
定休日が同じなためずっと行けなかった
お店に店主とふたり、ごはんを
食べにいきました。
そこはカウンターだけの天ぷら屋さん。
高級な感じじゃない、街の、
昔からやっている天ぷら屋さんです。


お昼時だったので数人がもうカウンターで
天ぷらを食べていて、
そこに並んで座ってメニューを
眺めていたら、初めての私達に
お店の方がおすすめを教えてくれました。
旦那さんと、奥さんと、息子さん
(もしかしたら息子ではなく
見習いさんかもしれない)の
三人でやっている様子。
旦那さんが見守る横で息子さんらしき人が
せっせと天ぷらを揚げて、
奥さんはごはんや天つゆやお茶を出して、
仕上げは旦那さんがする。


そうして目の前に置かれた天丼は作りたてで
つやつや生き生きしていて、
それだけで私は泣きそうになった。
こういうもの、私はすごく知っている。
私がずっと小さい頃から食べてきたもの。
生きてきた世界。
ちょっと油っぽい厨房。慌しいお昼の様子。
お客さんがただその食べ物に向かって
がつがつ食べている感じ。


天丼はおいしかった。
私は食べながらずっとお父さんのことを思っていた。
お父さんお父さん、お父さんがいなくなってから、
私は初めて、お父さんのごはんを食べているような
気持ちになったよ。
おいしいものって、こういうのだよね。
こういうのが、食べ物屋さんだよね。
いろんなお店に行くたびに、
違う。何かが違うっていつも思った。
いつもなぜだかさみしくなった。
それはなんでなんだろう、ってずっと考えてた。


それはきっと、自分が食べている様子を、
見守ってくれている人がいないから。
食べられる素材を使えば、誰だって料理は作れる。
人が食べられるものが作れる。
でも、それが仕事のためだけに作られて、
ただ注文した人のところまで
運ばれるだけだったら、
それはもう料理ではない気がする。
それを、誰にも気に留められないまま、
形だけかっこいいカフェの片隅で食べることは、
本当に泣きたくなるようなこと。
言い方は悪いけど、まるで餌のよう。
おいしく食べていてくれるかどうかなんて
見ていない。
だからお水がなくなっていても気づかない。
さみしくなって、一人でごはんを
食べたくないから出てきた外での食事で、
もっとさみしくなるようなことが
東京ではたくさん起こっているような気がする。


深く考えると泣いてしまうから、
ただ必死で、目の前の天丼を食べた。
どんぶりのごはんにさらに天ぷらも
どんどん揚がってくるので、
お腹ははち切れそうなんだけど、
この人たちが作ってくれたものを
お米一粒だって残すわけにはいかない、と
ひたすら食べた。
自分が食べている様子を、
お店の人が見守ってくれているのを感じながら。
そうやって食べていると、
カウンターに並んでいる知らない人たちが、
まるで家族みたいに感じる。
言葉は交わさなくても、同じ人が作ったごはんを
一緒に食べている。それだけで、
なんだかさみしくなくなる気がする。
そんなふうに、「ごはんを食べる」ってことは、
人にエネルギーを注ぎこむことだと思う。
お店のいい所って、そういうものだと思う。


お客さんのことをちゃんと見ていたら、
こうしてお茶がなくなったらすぐ注いでくれるし、
天つゆが少なくなったら声をかけてくれる。
そして本当に来てくれてありがとう、
って思ったら、こういう声になるんだよね。
一人ひとりの顔をきちんと見るのが
当たり前になるんだよね。
この人たちは、何年もず〜っと、こうして
自分のお店で、自分たちの作ったものを
食べていく人たちの顔を見ている。
そこには、形だけ整えた店には絶対に出せない、
何か大きくてやさしいものが生まれるのだと思う。
お客さんは、そこにいるのを
許されるような気持ちになるのだと思う。
椅子はちょっとがたがたして、
長年使っているだろう食器の模様は少しはげていた。
でもそこにいる間、
ほんの一瞬も、私はさみしくなかった。

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