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花鳥風月通信

自慢のおいしいスパゲティ
高円寺「花鳥風月」の公式ブログ
<< 辰巳芳子さんの言葉 | main | 2007年 3月24日 >>
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一年たちました
こんにちは。ミキです。
今日で、父が亡くなって一年がたちます。
あっという間の、そして私の人生にとって
はずすことのできない、大事な一年間でした。
私事で恐縮ですが、今日は父に向かって
手紙を書くようなつもりで
書かせてもらいたいと思います。


お父さん、元気にしていますか。
そこから私が見えるかな。店主とひなこと三人で、
大変だけどしあわせに生きているのが見えるかな。
この間、テレビで辰巳芳子さんの番組を見ました。
その中で、病気になった人のためにつくる、
にんじんのスープというものが出てきました。
にんじんをきっちりと五ミリ幅に刻んで、
野菜を炒めるときの湯気も決して逃さず、
丁寧に丁寧に作るその様子は、
料理というものに形を変えた、祈りのようでした。
漉されてとろりとしたそのスープは
すごくおいしそうで、
食べた人たちも目を見張っていました。


お父さんに、こんなの
食べさせたかったなあ・・・って思った。
その頃、まだ辰巳さんや、そのスープのことを
知らなかったし、病院に入院することになって、
もう決まったものしか口にできないんだって、
そう思ってしまってた。
でも、本当にそうだったのかな。
最後の最後に、家族が自分のために作ってくれた、
本当においしいものを
口にしたかったんじゃないかな。


一度帰ったときに作っていった
チョコレートケーキを食べてもらうのを
諦めてしまったけど、なんで
諦めてしまったんだろう、って
今になってすごく思う。
その頃のお父さんは苦しそうで、
食べる楽しみというものからも
遠ざかってしまっているように思えて、
自分の作ったものを食べてもらいたいなんて、
私の自己満足のような気がしてしまった。
でも、一口でもいいから、食べてもらったらよかった。
もし食べられなくても、見るだけでも
お父さんはうれしかったんじゃないかな。


好きだからこそ、ずっと心の中で
いつか別れがくることを覚悟して生きてきたから、
お父さんと一緒にすごしてきた年月や、
交わしてきた言葉に後悔はないけど、
最後に、祈るような気持ちで作った、
本当にしみじみとおいしいものを
食べさせてあげることができなかったことだけは、
本当に後悔してる。
毎日毎日、自分の家族や、たくさんのお客さんたちに
おいしいものを作り続けてきた人の最後の食事が
病院で出される味気ない一皿だったなんて、
そんなことあってはいけなかった。
ごめんね。本当にごめん。
どうしてそんなことが分からなかったんだろう。


お父さんのお見舞いに行って、眠っているお父さんの
手を握りながら、いろんなことを思いました。
お父さんは、この手で小さい私や
お姉ちゃんを抱っこしたり、
お母さんと手をつないだり、車を運転してでかけたり、
ゴルフをしたり、おいしいものを
たくさん作ったりしたのに、
もう、その全部ができなくなったんだ。
そういうことのすべてが、もう終わってしまったんだ。
そう思うと、涙が後から後からぽたぽた落ちた。
お父さんは、一瞬目を開けて私を見たけど、
また目を閉じてしまった。
冬の病室は暖房がきいて暖かく、しんと静かで、
私のあげたハーブのアイピローで、
病室中がラベンダーのやさしいいい匂いがした。
悲しい場面のはずなのに、私の中では、
温かい、きれいな思い出みたいに残ってる。


あれから、私は毎朝ベランダに出て体操しています。
朝の空気の中で深呼吸して、その度に、
私は今生きていて、どこも痛くないし、
思い悩むようなこともない。
だから何だってできる、まだまだ、
いろんなことができるんだってことを
確認するの。
私にできるのは、これからの残された時間に、
できるだけ、したいだけのことをすること。
家族に、おいしいものを作り続けること。
お父さんがいたらよかったって思うことも
たくさんあるけど、お父さんがいなくなってしまったから
分かったことがたくさんあるよ。
またいつか会えるときまで、いろいろやってみる。
私の夢をかなえるとこも、そこからゆっくり
見学していて下さい。
見学しがいのある人生にしてみますから。
それは派手な、波乱万丈な人生ってことでは
もちろんなくって、人として恥ずかしくない、
自分にうそがない人生ってことだからね。
では、またね。

| 旧ブログより「傑作選!」・・・家族 | 19:49 | - | - |
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